ニュースレターVOL.8を公開しました


(左)株式会社ワールドサプライ 代表取締役社長 梅木 淳 (右)商業施設新聞 編集長 高橋 直也
商業施設を取り巻く環境が、大きく変わり始めています。新規開業するショッピングセンター(SC)の数が減少する一方、既存施設では売上を伸ばす動きもみられます。ECの普及により消費行動が変化し、人手不足による店舗運営への影響も顕在化するなか、これからの商業施設には何が求められるのでしょうか。
今回は、全国の商業施設を取材する業界紙「商業施設新聞」の高橋直也編集長(以下、高橋)と、商業施設の館内物流を長年支えてきたワールドサプライ社長の梅木淳(以下、梅木)が対談。業界を俯瞰する視点と、物流・施設運営の現場を見る二つの視点から、商業施設の現在地と変化について語り合いました。
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■施設数は減少、それでも既存SCは伸びている
――商業施設を取り巻く環境について、現在どのように見ていますか。
高橋:統計データだけをみるとSCの数が減っています。一見すると、業界全体が縮小しているようにも見えます。ただ、実際には既存SCの売上が伸びているケースも多く、単純に市場が縮小しているとは言えません。特に好調なのは、リニューアルした施設や、人が集まりやすい立地にある施設です。施設数そのものは減少していても、一つひとつの施設がどう価値を高めていくかという方向に、競争の軸が移ってきているように感じます。
――消費者の行動にも変化が出ているのでしょうか。
高橋:大きいのはECの普及です。衣料品などはネットで簡単に購入でき るようになりました。そのため商業施設では、飲食店や映画館、アミューズメントなど、そこに行かなければ体験できない「体験消費」の重要性が高まっています。
一方で、体験型のテナントを増やせばすべて解決するわけではありません。売上という面ではファッションなどの物販も依然として重要です。物販と体験をどう組み合わせるか。多くのデベロッパーが、まさにいま模索している段階だと思います。
■大型施設だけではない。「地域密着」という新たな選択肢
――最近は地域密着型の商業施設も増えているように感じます。
高橋:そうした流れはあります。今年開業している施設を見ると、比較的小規模な施設も多く、地域密着型の開発が目立ちます。ただ、これは必ずしもポジティブな理由だけではありません。大型施設を開発できる好立地が少なくなってきたという背景もあります。これまで大規模なSCを展開してきた企業が、より小型の施設や新しい領域に進出する動きも出ています。
一方で、地域密着型にはまだ開発余地がありますし、実際に好調だという声も聞きます。大規模施設か小規模施設かという単純な話ではなく、その地域に何が求められているかを捉えることが、より重要になっていると思います。
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■商業施設が変われば、物流も変わらなければならない
――こうした商業施設の変化を、物流の現場ではどのように感じていますか。
梅木:私たちにとっても大きな変化です。物流は、ある程度の物量が集まることで効率的に運営できる仕事です。 商業施設が小型化・分散化していけば、これまでと同じやり方では対応できなくなる可能性があります。だからこそ、施設側の変化に合わせて、私たち物流側もやり方を変えていかなければならない。これは現在、非常に大きな課題として捉えています。
――現場では、人手不足の影響も大きくなっていますか。
梅木:かなり大きいですね。以前であれば、商業施設は「午前10時に全店舗一斉オープン」というような運営が一般的でした。ところが最近では、「11時から営業したい」「平日は休業日を設けたい」といった店舗も出てきています。理由を聞くと、「人が集められないので、この形でしか店舗を運営できない」という話があります。人手不足が、営業時間や店舗運営そのものに影響し始めています。
――そこにワールドサプライが支援に入るケースもあるのでしょうか。
梅木:あります。例えば、スタッフが足りない時間だけ店舗をサポートしたり、ワンオペレーションの店舗で、昼休みの1時間だけ私たちのスタッフが代わりに入ったりする取り組みです。私たちはこれを「ショップ サポート」と呼んでいます。商業施設の館内物流を担っているため、施設内には日常的にスタッフがいます。その人員を配置・教育することで、必要なときに店舗を支援できます。単発で人を派遣するのとは違い、施設のルールや店舗の業務を一 度覚えれば、それをチーム内で共有できます。誰が入っても一定の対応ができる体制をつくれることが、私たちの強みだと思っています。
■「運ぶ会社」ではなく、商業施設のサポーターへ
――物流の仕事から、かなり役割が広がっていますね。
梅木:私たちは「商業施設のサポーターである」という考え方を大切にしています。荷物を運ぶことだけが仕事ではありません。店舗や施設が困っているのであれば、「そこは私たちの出番だ」と考える。店舗が売上を伸ばすこと、商業施設全体がより良くなることを応援する。その姿勢を社員にも共有しています。最近では、商業施設内のイベント運営を一気通貫で支援する取り組みも始めています。イベント会社や人材会社などに個別に依頼していた業務を、施設のルールを理解している私たちがまとめてサポートする。新しく出店を検討している企業が、まずイベントスペースで商品を販売して反応を見る、といった使い方もできます。こうしたサ ービスも、お客さまから「困っている」「手間がかかる」という声を聞いたことがきっかけです。物流という枠にとらわれず、施設や店舗をどう支えられるかを考えることが、これからますます重要になると思っています。
(後半に続く)
前編のまとめ
商業施設を取り巻く環境が変化するなか、施設運営だけでなく、その裏側を支える物流のあり方も変わり始めています。
▶次号予告
後編では、商業施設のにぎわいを持続させていくために何が必要なのか。
新たな価値づくりやテナント支援、AIを活用した施設運営、さらには企業の垣根を越えた連携について語り合います。
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